フルーツ大福と言えば、まずその見た目に惹かれる方が多いだろうと思います。その人気のフルーツ大福ですが、一番お取り寄せしやすいのは一心堂さんのフルーツ大福かと。
フルーツ大福の難しさ①
①フルーツを使う事です。(当たり前ですが)
以前、苺大福を作って出荷していたのですが、最大のテーマとして、そもそも製品として成り立つのか、という事でした。生の苺を使うが故、全く日持ちしてくれない、という懸念を常に抱える商品です。
生の苺なので、当然、大きさ・鮮度など状態が違います。仕入れた苺には、傷みすぎ、小さすぎ、逆に大きすぎて使用できない物もありました。さらに苺なのでヘタを取らないといけない。適当にヘタを取って苺を傷つけるとそこから傷んできて使えなくなります。
つまり、この時点で非常にコストがかかる事になります。
一心堂さんでは苺だけでなく、様々なフルーツを取り扱っていて、一体どういう事か、と調べると、フルーツマイスターの方がおられる!と。
逆に、それくらいの方がいないと、これだけの商品化は難しいと思います。
フルーツ大福の難しさ②
②フルーツを包む事
フルーツを包んですぐに食べてしまうのならいいんです。それを2日とか日持ちさせるには技術が要ります。
餡を包む大福は、実は餡の糖度と生地の糖度が計算されています。一般に糖度というのはブリックス値の事で、実は糖の割合ではなく水溶性固形物の割合なので、糖度が低い物というのは水分が多いという事になります。
例えば大福の餡の水分が多い(糖度が低すぎる)+生地の糖度は高い(糖度が高い)という製品の場合、水分というのは多い方から少ない方へ移動する力があるので、時間が経つと餡の水分が生地の方へ引っ張られ、餡が離水してべちゃついたり、など。問題が起きる可能性があります。
餡なら仕上がり糖度を計算して作ればいいのですが、生のフルーツだとそういうわけにはいきません。水分は元々多めですし、包んだ後は、フルーツがべちゃついて痛みが早くなりがちです。
一心堂さんではどうしているのか、フルーツ自体に何らかの加工を施してから包むのか、包んでいる餡や生地に秘密があるのか、いいフルーツを使えば問題ないのか、大福を実際切ってみて、食べてみて探ろうと思います。
それにしても、全て手包みしているというのは、作業性から来るものなのか、愛着なのか、とにかくこだわりを感じます。
フルーツ大福の難しさ③
③チルド保管せねばならない事
フルーツが入っているので、日持ちを考えると当然ながらチルド保管になります。
最近、コンビニスイーツにもチルドで大福や団子が売っているので普通の光景かもしれませんが、元々餅なので、適当に作っていたらすぐに硬くなります。硬くて食べられない大福ほど、まずいものはないです。
これを止めるには安価な添加物もあるのですが、材料へのこだわり、かつ適正な配合を開発時に見出さない限り商品化はできません。一心堂さんの原材料を見る限り、余分な添加物は使用されておりません。(添加物らしい添加物はトレハロースくらい。トレハは添加物の中でも比較的安全な物質です)「冷蔵でも固くならないよう研究を重ねて配合した餅粉」とあります。すげぇプロだな~という感じですね。
(チルド保管には製品自体の菌の増殖が抑えられるという利点はあります。)
届きました!
切ったよ!
よく開発時に写真を撮っていた時は、半解凍状態の大福を包丁で切ると切り易かったのですが、フルーツ大福はチルドなのでそういうわけにはいかず、そんな時は糸で切るのが一番いいですね。
衛生的に微妙でしたが、その辺にあった糸で。
食べた。食べ尽くした。
日持ちの状態が一番見たかったので、来てからすぐではなく、賞味期限ギリギリのところで食べました。分解して、餅、餡、フルーツをそれぞれ食し、その後に合わせて食べるという、我ながらマニアックぶりを発揮。
①苺+白あん
苺大福の王道、白あんですね。フルーツ大福を取り扱うなら、この製品は必須なのであります。苺の品種はなんでしょうね?やはりお菓子向けに酸味強めで新鮮さを感じました。すっきり滑らかな白あんもgood。挽き立ての餅粉ならばもっと美味しかったかな、というところ。
②苺+粒あん
粒あんは、量は少ないですが、あんこ感を出す為なのか粒がゴロっとしてます。さすが関西のメーカーというところか。しかし、苺大福は通年商品としている所は凄いですね。夏はどうするんだろ。
③栗+モンブラン餡
販売ページの説明から、ブドウが来るものと思ってましたが、おまかせ4個入りですからね。ブドウは夏なのでしょう。栗が来ました。この栗はどうやら渋皮栗の甘露煮から取った物のようですが、この栗のホクホク感+モンブラン餡の風味+大福生地のハーモニーが利いた一品でした。4種の中では餡の量が一番多く、餡も美味しかったです。
④パイン+白あん
カットフルーツなので離水しないのか?パインが一番気になっていました。とりあえずパインを見て驚いたのは、写真でもわかると思いますが、パインだけ凄くデカい。餡がたくさんという事でなく、パイン自体がデカく食べ応えがありました。パインは和菓子に合いますからね。これをお試しセットに入れるのも王道の手段だろうと思います。
生地と餡は思ったより甘かったですが、パインの酸味と良く合います。スプーンで切りながら食べると食べやすかったです。気になる離水具合は、それ程問題なし。賞味期限2日なら耐えられるという判断なのか。離水すると菌が発生しがちですが、多少離水するくらいなら餡にフルーツの風味が移って逆に美味しいかも。切ってから時間が経つと生地に水分が回って餅感が無くなるので、切ったらすぐに食べるべし。
生地は、これなら冷蔵保管いけそうだな、という印象の柔らかい求肥スタイルでした。冷えた状態の方が餅感があって美味しい生地です。
※と、いう事で、全体的には、美味しく楽しんで食べられました!!
もっと色々書きたいのですが、ヨダレが出てリピートしまくるのでこの辺で。お子さんと一緒に切ったりしたら楽しめそう。以上有難うございました。